解説 ワイルドキャット

現代ではテイルバックがセンターの後方に立ってスナップを受けるフォーメーションをまとめて「ワイルドキャット」と呼んでいる。

解説

「シングルウィング・フォーメーション」から派生したラン隊形。 ウィングバックを 2人出すのでダブルウィング(Doble-Wing)という。

1990年代に大学の強豪校が盛んに使うようになって「ワイルドキャット」(山猫)の呼称で広く知られるようになった。

NFLでは 2008年の第3週にドルフィンズがペイトリオッツに対して多用し、38-13で大勝したことで脚光を浴びた。 他のチームも導入したが、すぐにディフェンスの対策が進み、効力は薄らいだ。

要点

  • テイルバックがスナップを受けてボールを持って走る。
  • 両サイドに 2人のウィングバックを出す。
  • タックルを 2人並べてラインナップするアンバランス・ラインを使う。
  • 1人のウィングバックがモーションし、スナップを受けたテイルバックの前を横切る形でプレーを始める。

ディフェンスの対抗策

ワイルドキャットは攻撃ライン(特に 2人のタックル)が前に押してからボールを持った選手が走り出すパワーランプレイが基本となる。 ラインが押すのを待つのでボールを持った選手が走り出すのが遅くなるのが弱点。

ディフェンスの対抗策は攻撃ラインの前進を止めるのではなく、ブリッツを入れるなどしてボールを持った選手を直接止めるのが効果的。 NFLではこの対抗策が広まり、ワイルドキャットは消えて行った。

早いランプレイ

ワイルドキャットの新しい考え方としてスナップを受けた選手がすぐに走り出す「早いランプレイ」が使われるようになった。 この場合、アンバランス・ラインは使わずにウィングバックがモーションもしない。 ボールを持った選手は攻撃ラインが押すのを待たずにブロッカーとともにラインの外のスペースへ走り、ゲインを狙う。

ドルフィンズのワイルドキャット

NLFではドルフィンズが 2008年に「ワイルドキャット」を使って旋風を起こした。 77ロングが72キャリーと並んでラインナップ。 34ウィリアムズがモーション。 QBチャド・ペニントンがSE(スプリットエンド)の位置に入り、スプレッド隊形を取る。