第38回スーパーボウル

SUPER BOWL XXXVIII
ペイトリオッツ 2度目の制覇、 残り 4秒でヴィナティエリ決勝FG
2004年 2月 1日 -- 大舞台で無類の勝負強さを発揮するKアダム・ヴィナティエリが試合終了 4秒前に 41yFGを決めたペイトリオッツが 32-29でパンサーズを下し、2年ぶり 2回目となるスーパーボウル制覇を果たした。

「クラッチャー」。その勝負強さからヴィナティエリに付いたニックネーム。 前回のスーパーボウルでも 17-17の同点から試合終了と同時に優勝を決める 48yFGを成功させて英雄となった。 この日の試合は前半に 2FGを失敗し、周囲を動揺させたが、 最後にその名に違わない実力を見せ、再びペイトリオッツに栄光をもたらした。


ブレイディ
ペイトリオッツは 10月以降敗戦がなく、15連勝でシーズンを終えることになった。 穴のない堅固なディフェンスと、ミスのない安定したオフェンスを武器に無敵を誇ってきたが、 この日もそのスタイルを崩すことなく最後まで戦い抜き、頂点に登りつめた。

一方、スーパーボウル初出場で惜しくも優勝を逃がしたパンサーズは、 ディフェンスでTDパスをインターセプトして失点を阻止し、 オフェンスでスーパーボウル史上最長となる 85yTDパスを決めるなど、 ビックプレイでペイトリオッツを苦しめた。

だが、決勝FGを許した最後のドライブでは、キックオフでベテランKジョン・ケイシーがボールをアウトオブバーンズに 蹴り出してしまう決定的なミスを犯してしまい、ペイトリオッツを助けてしまった。 キッカーの明暗が勝敗の明暗を分けることになった。

ディフェンス戦が濃厚とされた試合は 1Qと 3Qで両チームに 得点がなく、予想通りの展開となったが、前半終了 3分前と、4Qは様相が一変し、 立て続けに得点が入る激しいオフェンス戦となった。

ペイトリオッツは序盤から優勢に試合を展開したが、 1Q最初のオフェンスでヴィナティエリが 31yFGを右に外して先制点を挙げられなかった。 さらに 2Q途中にも 36yFGをブロックされて失敗し、 得点できなかった。

だが、続くディフェンスの 3プレイ目に LBマイク・ブレイベルがパンサーズQBジェイク・デロームをサックして ファンブルを誘発させて敵陣 20yでターンオーバーを奪い、 4プレイ後にブレイディがWRディオン・ブランチに 5yTDパスを決めて 7-0と先制した。

パンサーズはそれまでオフェンスでいい所がなかったが、 自陣 5yから開始した続くオフェンスで デロームが 23yパスをWRムーシン・ムハメド、 15yパスをWRリッキー・プロールに決めて敵陣に攻め込み、 WRスティーヴ・スミスに 39yTDパスを決めて 7-7の同点とした。

95yTDドライブはスーパーボウル史上 2番目に長い 記録に並んだ。

ペイトリオッツは前半残り 1分からの続くオフェンスで ブレイディが 52yパスをブランチに決めて 敵陣深くに攻め込み、WRデヴィド・ギヴンズに 5yTDパス。前半残り 18秒ですかさず 14-7とリードを奪った。

パンサーズは続くキックオフリターンで自陣 47yの好位置をとり、 RBスティーヴン・デービスが 21y走って敵陣 32yに到達し、前半終了とともにケイシーが 50yFGを決めて 14-10と点差を詰めてハーフタイムに入った。

恒例の「ハーフタイムショー」はジェネット・ジャクソンらのポップスターが熱演した。

後半になって先に得点したのはペイトリオッツで 3Q終わりから維持していたオフェンスを 4Q頭に得点とし、RBアントワン・スミスが 2yTDランを決めて 21-10とリードを広げた。

パンサーズは続くオフェンスでデロームが 18y、22yとスミスにパスをつなげて 敵陣に攻め込み、RBデショーン・フォスターが鮮やかに ランで中央を突破して 33yTDを決めて 21-16と追い上げた。

ペイトリオッツは次のオフェンスでも 順調に進撃を続けて敵陣ゴール前 9yにまで達したが、プレッシャーを受けながら強引に TDを狙ったブレイディのパスが エンドゾーン内でレジー・ハワードにインターセプトされて追加点をあげられず。 優勝を決定付けることが出来なかった。

パンサーズはそこからのオフェンスで自陣 15y、3rd-and-10に 追い込まれたが、デロームが左サイドラインを駆け上がる ムハマドに思い切ったロングパスを投げ、ボールキャッチした ムハマドがペイトリオッツのディフェンスを振り切って スーパーボウル史上最長となる 85yTDにつなげた。

パンサーズはこのビックプレイで初めて 22-21とリードを奪い、勝利が見えてきたが、 ディフェンスがブレイディのパスオフェンスを止めることが出来ずに 試合残り 3分で自陣ゴール前 1yにまで攻め込まれ、 有資格レシーヴァーとしてラインナップしていた LBブレイベルへ 1yTDパスを決められて逆転された。

ペイトリオッツはこのTD後のエクストラポイントで 2点を取りに行き、ダイレクト・スナップを受けた RBケヴィン・フォークがランでエンドゾーンに到達して 29-22と 7点差をつけた。

パンサーズは最終盤で追い詰められたが、 デロームのパスは乱れることなく、 連続してレシーヴァーにつながり、 あっと言う間に敵陣ゴールに近づき、 残り 1分でプロールへ 12yTDパスを決め、 29-29の同点に追いついた。

この時点で延長戦突入の雰囲気も出てきたが、 続くキックオフでケイシーがボールをアウトオブバーンズに蹴りだす決定的なミスを犯してしまい、 ペイトリオッツに自陣 40yの好位置を与え、決勝ドライブのお膳立てをしてしまった。

ブレイディはショットガンから連続してパスを決めて 残り 9秒で敵陣 23yに到達。 ヴィナティエリがキックを成功させて優勝を決めた。

パンサーズは続くキックオフにわずかな望みを託したが、 ドラマは起きずにリターナーのロン・スマートが 自陣 22yでタックルされてダウンし、 試合終了となった。